救助大会はじめの一歩「何を鍛えるのか」その4
救助大会はじめの一歩
訓練種目は、基礎訓練から連携訓練にコマを進めていきます。
救助大会陸上の部の連携訓練には、以下の5つの種目があります。(既にご存じとは思いますが)
ロープ応用登はん 2人 |
ほふく救出 2人+要救 |
ロープブリッジ救出 3人+要救 |
障害突破 4人 |
引揚救助 4人+要救 |
上から順番に合わせる呼吸の数が増えていきます。
この呼吸の数が何人ピッタリ合うのか、それが勝因の鍵です。
要救助者役(以下、要救と記載)がある場合は、要救とも一体とならなければ、到底勝てる訳はありません。
そもそも現場では、要救に向かって迅速に突き進み、共に生還するために要救に声がけをし、協力を得ながら(意識のある場合)作業をするのですから、如何に自分が作業をし易い状況に持っていくかも勝因につながる重要な技術となります。
大会はタイムレースですので、要救から規程外の動作や協力を得ることはできませんが、規程範囲内でどう工夫してアシストし合うのかがチームが息を合わせて一体になるということだと私は思います。
前段が長くなりましたが、連携訓練で最初に説明する種目は、ロープ応用登はんです。
2人で協力して15mの懸垂ロープを登っていくこの競技は、練達度の高い隊員の中では、「力3分に技7分」で行うものと表現する方もいます。
ロープを自力で登ること自体、隊員の素地が高いことに越したことはありませんが、先の言葉にあるとおり、技7分で取り返せる部分があると逆に考えることができます。
登る者(1番員)と登りを補助する者(2番員)の息を如何に合わせられるかで、多少の素地の差は引っ繰り返せることは経験者であれば納得できます。
また、フットロックに合わせてロープを張り、緩める動作を繰り返して補助を行う2番員のタイミングの取り方次第では、1番員を疲労させずに目標に到達させることが可能ですし、あわよくば加速させることも可能といわれています。
高く登って行くに連れて1番員の足に懸かるロープの重さ、2番員の引っ張りに対するロープの伸び、ロープの伸びによって1番員の足に伝わるタイミングなど、2番員の観察力や力の掛け具合のセンスが要求されます。
2番員のロープを張るパワー自体もタイム短縮に貢献するので、一見登る側より楽に見える2番員ですが、筋力、洞察力などの素地の良さが求められるのは2番員も変わらないのかも知れません。
訓練を進めていく上での注意点は、隊員の疲労度がピークを越えては絶対いけないということです。
タイム短縮を我武者羅な根性論での取り組みによって、1番員の足の疲労骨折や、足底骨炎症、2番員の肩への打撲痛や腰部痛発症などを引き起こし、大会へのエントリーさえ出来なくなる事態を引き起こすことになるからです。
お互い個人の訓練計画を持ち寄り、チームでの訓練計画を立て、ピークをどこに設定し、調整はどのようにして進めるのか、その策を確りと練るのが大会当日(予選会当日)ベストパフォーマンスできるための条件と考えます。
さぁ、あなたはこの種目に進む意思決定とパートナーは見つかりそうですか?
次回ブログは、連携訓練2つ目、ほふく救出に進んでいきます。